A Time Limit
「じゃぁいったい、何があったって言うのよ?」
「えっと…………」
私は一瞬、3日前の千里くんとのことを真子に話すか迷った。
だけど……真子は一番の親友だし私のことを考えてくれてる。
それに口が堅いし…大丈夫だよね。
「真子…千里くんて人知ってる?」
「千里……?
って言うとエリナが好きだった爽やかめの人?」
そこで一気に思い出す高2の頃の出来事。
私たちとははっきり言うとそんなに仲良くはなかった子、エリナ。
髪は長めでいつもくるくるに巻いていた。
「寝坊したから~」とか言ってた日なんかは特にくるくるだった。
そんなエリナがある日珍しく話し掛けてきた。
「ねぇーエリナ、真子ちゃんと杏里ちゃんにちょっと相談があるのぉ」って。
真子は明らかに怪訝そうな顔をしてたっけな。
まぁ、そこでエリナが本題に入るの遮ったの私なんだけどね。
「エリナぁ、千里くんのこと好きになっちゃったんだよねぇ。それで2人に「え、誰?」
真子は耐えられない!って感じでめちゃくちゃ震えてたなぁ。
それから私たちは学年の男に疎い[ウトイ]ってレッテルが貼られたんだっけ。
てか実際、まだ友達じゃない人のことなんてわからないじゃん!
「そういえばそうだったね。
エリナ事件とか…懐かしい」
私はしみじみとして言った。
「あのときの杏里、素だったとしてもなかなかナイスだったよ。
………で、その千里くんがどうしたって?」
真子は右手の親指を立ててグッジョブのポーズをとってから聞いた。
「3日前、小樽に行ったときカフェで会って………」