A Time Limit
私たちは千里くんに声を掛けられた(ナンパされた?)場所に向かうため駅へと歩いていた。
…と思っていたが、私は途中で駅とは真逆の方向に歩いているということに気が付いた。
「真子?
駅に行くんじゃないの?」
真子は「へ?」と短く声を出し、それから足を止めて言った。
「なんで駅に行くの?」
「いや、だって、小樽に行くんじゃないの?」
真子は止めていた足を再び動かし歩きながら言った。
「なんで小樽?」
「だって、私が千里くんに会ったのは小樽だよ?」
「あぁ…まぁたしかに小樽だけど、私が言ってたのはここのことだよ!」
立ち止まり、真子が指を指した先を見るとお店があった。
“Cafe Otaru”
店の入り口付近に、『昨日オープンしたばっかりです!!』と書かれていた。
「まじ……?」
思わず口にしていた。
「さ、入ろ♪」
真子に促されるがまま、私は店内へと入っていった。