A Time Limit
千里くんの正面にいるのがなんだか気恥ずかしく思って視線を右側に向けるとカウンターが目についた。
「…ねぇ、どうして千里くんはこのカフェに来たの?」
「俺、ここのカフェが好きなんだ。
……それとこないださ、杏里ちゃんに小樽のこのカフェで会ったじゃん?
だから」
私は意味がわからず首を傾けると、千里くんは頬を染めて言ったんだ。
「だから……また杏里ちゃんに会えるかなって思って……」
―ドキッ
やばいよ。
やばいよ千里くん。
「私も……そう思ってた」
言おうと思っていなかったのに、無意識にそう口にしていた。
さらに頬が染まっていく千里くん。
自分の頬もじわりじわりとだんだん染まってきているのがわかった。
2人とも急に無言になって時だけが経っていった。
どのくらい経ったのかな?
多分、数字で言うと2~3分だったと思うけど私には2時間とか3時間とかものすごく長く感じた。