A Time Limit
やばい……やばいよ……。
千里くんの顔を思い浮かべてみただけなのに、胸がちょっと苦しくて心臓の鼓動がうるさくて顔がほんのり熱を帯びたみたいに熱くなっている。
好き。
好きだよ……っ
いったいいつから好きなのだろう?
そんな疑問が出てきても考える余裕がないくらい、私の頭の中は千里くんと千里くんに対する想いでいっぱいだったんだ。
「好き……」
そう口にしたとき、なぜだか一粒の涙が頬を伝った。
『あ………』
不意に千里くんのことが頭から抜けたときに、ふと今の時間が気になって時計を見上げた。
『……10:18…………』
約束の場所には歩いて30分、バスで15分かかる。
つまり、簡単に言うと準備する時間はあまりないってこと。
やばくねやばくね?
私は全力で出掛ける仕度をし、なんとかバスに乗り込むことができた。