A Time Limit
「いいね、海!
じゃあ行こっかぁ」
―キラッ…
うあ…まじか…
変な顔どころかめちゃくちゃ素敵な千里くんスマイルをしている。
この人、やっぱり…
良い人だわ……!!!
―それから1時間30分後。
私たちは地元から最も近いと言われる海に到着していた。
―ザザ…ン…ザザザザザ…
私は耳を澄ませて周りの音を聞いた。
波の音に混ざって、微かにカモメたちの声もする。
『やっぱ海っていいな……
波の音って落ち着く…』
「やっぱ海っていいなぁー…
なんか落ち着く……」
「えっ?」
私がたった今思ったことと、同じことを言うから驚いて思わず聞き返した。
すると千里くんは照れて弁解を始めた。
「いや、なんかさ!
こう…久しぶりに来ると海っていいものだなって思って……いやもとから海っていいけど…波が!
そう波が穏やかっていうか自然っていうか………」
珍しく口ごもる千里くんがなんだか新鮮で弟的存在のように可愛くて、笑ってしまった。
「あっはははははは!
そうだね。
でも私が聞き返したのは千里くんが言ったことに対してじゃなくて、私と同じことを思ってたからびっくりしちゃって…」
「お…おう////」
やっぱり照れている千里くん。
今度はきゅんとして、可愛いと思った。
私はついつい千里くんの頭を撫でてしまった。