A Time Limit
ユウは、恋をしている。
お茶会サークルを立ち上げたとかいう人のうちの一人黒……
あれ……名字なんだっけ。
黒川?
黒井?
黒沢?
…黒縁?
あ、そう。黒縁のメガネをかけている。
だが、依然として名字は思い出せず。
ユウはたしか彼のことをカズさんって呼んでた…はず。
「あっ!
杏里杏里!
前方にカズさん発見だよぅ」
少し顔を赤らめて言うユウ。
「カズさぁーん!!」
叫ぶ私と焦るユウ。
恋って…やっぱりいいね。
「じゃ、あとで」
「え、ちょ、杏里のばかぁ…」
立ち去ろうとする私と私に縋(スガ)ろうと嘆くユウ。
ま、がんばれ。
ばかとか言ってる割にはなかなか照れた可愛い表情してるし。
大丈夫でしょ。
私って前向き?
いえいえ、単に適当なだけです。
ユウに…
大好きな友達に…
上手くいってほしいって、みんな思うでしょ?