A Time Limit




ワタルに連れられて入った店はオシャレな感じのバー。









こういうお店に入るのは初めてだったからちょっと緊張していたし、何よりも違和感を覚えたのはこういうところをオススメしてきたワタルに対して。










だって、いいお店だって紹介するってことは何回か通っている…とも捉えられなくもないし……。











でも、そんなに仲はよくないからここで怪訝そうな顔をしたら、同じサークルなのに大した交流もなく卒業してしまうような気がしたので終始笑顔でいようと心掛けた。





















ワタルは話している間、気を遣ってかさっき私が沈んでいた理由を聞いてこなかった。










「ねぇ、そういやさぁ
杏里って恋愛とかしないの?」











「え……どうして?」









「みんな言ってるよ。可愛いのに寂しそうな顔してて、だけどどこか充実した空気出してる。
一週間くらい前なんてさ、俺らのサークルのあるやつがお前に告ろうとしてたけど彼氏いらないって話し声が聞こえちゃって諦めてたぜ」










え…………







なんだそのばりばりの先入観………!









前半部分は聞き流すとしても…………









「私、そんな話したことな……」








言い掛けて、はっとした。











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