A Time Limit
そして真子に付き合ってもらい、タケルの家へ向かう私たち。
「真子ぉ…
やっぱり怖いよぉ……」
「何言ってるのさ!
私はこの公園にいるから
杏里一人で行きなさいね」
「…はぁい。」
真子と別れ、足取り重くタケルの家へ向かう。
―ピンポーン
―………
音沙汰なし。
帰ろうかと思ったそのとき、あることを思い出した。
「緊急事態緊急とかのときは普通に入ってよかった…はず。」
―ガチャ
玄関にはタケルの靴とハイヒールがあった。
ますます早くなる動悸。
どうしてか泣きそうになってくる。
『もうやだぁ……』
階段の下に立つと、ぼそぼそと話し声が聞こえてきた。
『ハイヒールの持ち主と話してるのかな。』
私は会話の邪魔にならないように、静かに階段を上がった。
階段を上がるにつれて、声が聞こえるようになった。
「――……。」
タケルの部屋へ向かう途中、嫌な胸騒ぎがしていた。
そしてタケルの部屋の
ドアの前に立つと、その声が
聞きたくなかったあの声が
ちゃんと聞こえた。