A Time Limit
「キャッ……」
まぁみなさんお察しのとおりその子は滑って体勢を崩した。
床目掛けて。
……ではなく、俺目掛けて。
だから俺は避ける訳にはいかず、その子を両腕で受け止めた。
―とさっ
と、まぁそこまではよかったんだけど…
「あっ…
ありがとう!千里くん!
私の命の恩人だわ♪」
イノチノオンジン?
そこまで言うか?
普通。
ちょっとオーバーなんじゃないの?
そう思って彼女を見ると、目をキラキラさせて恩人だの素敵だの言ってまだ一人で騒いでいる。
俺は呆れて、でも営業スマイルで彼女に言ったんだ。
「怪我はないみたいだね?
これからは気を付けるんだよ」
「…うん……」
俺はさよなら、って意味で言ったのにまだ話したそうな雰囲気を出している彼女。