あげは蝶
「ご…ごめんなさい……。」

あ…いつものあたしに戻ったみたい。
それにしてもあれは誰だったのだろうか?


……ん。
それにしても




美和、少しみんなに本性がばれたんじゃ…?


「美……」

「気安く声をかけるんじゃないわ!あたしは理事長の娘なの。あんたなんてね、いつだって潰せるのよ!!」

「……美和…あの2万円を仕組んだのも全部美和なんだよね?どうして?あたし、何か嫌なこと………しちゃったの?」

もしも
された、と答えたらあたしは何て言って謝ればいいのだろう。


美和を嫌な奴にさせてしまって…全部あたしの責任かもなんて……。


「…そーよ。あんた、見てていらつくの。いかにも真面目です、みたいな見た目してさあ。何が目的なの?いまどきそんな中学生いたんだあ、って初めてみたとき爆笑しそーになっちゃったあ〜。成績だっていつもあたしはあんたの次!2番!残念だったわね西本さん、って……あんな教師どもにあたしの努力がわかってたまるか!」


美和は今まで見たことないような
顔をしてあたしを見た。



「なんだ…そんな理由……?言っちゃ悪いかもしれないけど、嫌いなあたしに負けないように努力すればいいじゃない。」



「は、はあ!?ふざけたことぬかさないで!あたしは努力してんのよ!あんたよりも何倍も頑張ってるわ。…そうよ………そうだわ。きっとあんたのこの見た目がいけないのねっ。みんなから期待される見た目といいそれに伴う成績といい………。ただの見た目じゃないのっ!あんたがあたしと同じ見た目なら少しは諦めつくかもなのにっ!……………あんたなんかっあんたなんか消えればいい!!」


美和は早口で
まくし立てると、ポケットから小さなはさみを取り出した。



「なんでこんなもの、持って……」


「……消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ!おまえなんかあたしの人生において邪魔なだけだ。…消えてよ。そしたらあたし……またみんなに見てもらえるわあ…。」




美和はそう言うと、
しゃきっとはさみを一度
動かしてからあたしに向かって飛び掛かってきた。




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