あげは蝶

輪廻



ピンク色をした雪が、春に舞う。

見上げればそれはそれは眩しくて。

あたしは目を細めてそれを見上げた。


と、ふいに後ろから包み込んでゆく暖かな感触。

あたしにはそれはとても心地好く、優しい気持ちになれる存在だと微笑み思う。


ピンク色の雪が……はらり、とあたしの額に舞い落ちた。







「お、起きてあげは!遅刻だよ!まじでー!」

「…んうー?……まだ5:30だけどぉ…。起きるの………ろ、6:30〜。むにゃむにゃ…。」

あたしは時計をみて納得しつつ夢の世界へと足を踏み入れた。


「だーっっ!この時計壊れてんのよっ!もう7:45だよっ。あんたメイクとか…2日目から早々してかない訳にはいかないっしょ!オキロー!」

お母さんが叫ぶ。


……?しっ、しちじはん過ぎ!?


「ヤ、ヤバ…!!メイク40分かかるのにぃ!遅刻だよ遅刻ー!」

「だから言ったじゃん。」


あたしはバタバタと洗面所に向かっていった。

まず顔を洗ってからコンタクトをはめて……。



急いで自分の部屋に戻ると制服にちゃちゃっと着替えた。

「つけま……は今日はナシでいいや、もう!」


テキトーにマスカラを塗って、グロスが唇からはみ出たことなんか気にしない。

髪の毛は巻かずにストレートのままぐちゃぐちゃの金髪が光る。




ガラララララッ!
「おっはよ♪」

今日も一段としまの笑顔が光る。

「しま…かわいーなーもう……。」

「…!?だ、誰アンタ!」

「はは……あたしだよあたし。笹村あげは。15歳……。ふう…。」


ほぼノーメイクに近くてマスカラが瞼で黒々と存在感を放つ。


「あ…げはか……!どしたの!メイク!」

「今日…さ。かくかくしかじかでさ……。急いで家出たけどお母さんの時計のほうが狂ってたってわけ…。だからほんとはもっとメイクする余裕……あったのにメイクポーチ忘れて…。ああ…っ!」

そんなあたしをしまは笑うでもなくスッと腕を引っ張った。


「こっち…来て。」

連れていかれたのはあまり使われない調理室。


「え……。なに?」

顔を手で覆いながら右目でしまを確認。
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