あげは蝶
恋だと気づくまで
自分の部屋に着くと、真っ先にベッドに潜りこんだ。
「しまぁー……あんなコト軽々しく言わないでよ…」
誰もいない家の中の自分の部屋で呟いたのに妙に誰かが聞いてるんじゃないかってドキドキする。
"それってただの恋じゃん☆!"
「恋……」
ふと口に出してみる。
あたしには似合わないことばだと思ってたのに…///
「工藤先生に…一目惚れしたのかあ……」
どうしよう!
今日から担任なのに
既にどうやって接すればいいのかさえわからない。
RRRRR…
RRRRR…
「……んー。!!で、電話だっ!」
RRR…
あ……鳴り終わっちゃう…
ピッ!
「も…もしもしっ?」
「……あ…あげは…た、……助けて…。もう…嫌だよ……。生きていたくない。苦痛だよ……お願い…楽になりたいの、許して………。」
明らかにしまの声。
「え…?しま……?しまなのっ?…どうしたのっ?楽になりたい、って…!どういうこと!…今から何するつもりなの!?嫌だ……やめて…やめてよ…!」
しまの突然の
自殺予告のような電話にパニックになってしまう。
どうやって助ければいい?
どうすればしまを救える?
警察?救急車?それとも学校?
わ…わからないよ……っ
どうしよう…っ
どうしようどうしようっ
「あげは…そんな悲しまないで…?……わらっ…てよ……ばいばい…」
プツッ
プー…プー…プー…
なんなの……?
ドッキリか何かだよ…ね?
あたしには訳がわからずに床に座ることしか出来なくて。
ただただ、夕日が地平線に沈むのを見つめるばかりだった。
ああ、今頃しまは……
と何もできずただただ
座ってお母さんが帰ってくるまで呆然としていた。
「…はっ!あ……は!あげはっ!」
「お母さ…ん。」
「よかった!気がついたのね……。」
お母さんはホッとした笑みを浮かべると、すぐに深刻な顔をした。