あげは蝶
目指す花


しまのことがあってからと
いうものの、
学校ではいじめ探しが行われた。


表沙汰にして
「楠木さんをいじめたひとー。」
と聞くわけではない。

いじめ実態調査とか、アンケートなんてしない。



教師たちは密かに、でも確実に

しまの入院に対する反応、しまとの仲の良さ、あらゆる分野で
あたし達を探っていた。


"みーちゃん"が原因だというのに。


あたしはそれを教師たちに
伝えてはいけない気がして。



しまの打ち明けてくれた事実はきっとあたしにだけ特別にだろうと思った。

しまの信頼を崩させなんかしたくなかった。



「希望進路用紙配るぞー。」

工藤先生が用紙を
うねうねさせてようやく我にかえる。



「ん?笹村どした?」

顔をひょい、と覗きこまれて
あたしは血がのぼってゆくのが感じられた。



「…あっ、いや……っなんでもないです…っ!」

顔をぷいっとそらして
スネた顔になった。


あたし、ツンデレなのかな……?

新たな自分を知って少し落胆。



ツンデレとか……///


工藤先生をみるとボヤボヤしちゃう。

しまが今大変なときなのに
好き(?)って気持ちは胸の奥で着実に成長してるみたい。



フキンシン…。


進路用紙を手渡しされ、
ますます血がのぼってクラクラする。

「……ふぇ。」



あろうことかあたしはそのまま教師の床にダーイブ!


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