あげは蝶
「……むらっ。さ…らっ!おー…い。ら!………笹村っ!!」
ん……
うるさいー。
あたしの名前普通に呼べよ。
…んー。
「さーさーむーらー。」
ん?この声ってさ…。
「おいっ。笹村あげは!」
く…っ工藤先生だ!
がばちょっと起き上がった。
どうやら眠っていたみたいで、
保健室のベッドで横になっていた。
「はっ……!はうっ!工藤先生…。あたし……何がどうしたんですか…?」
何だか頭がぐわんぐわんして
思考回路がうまく回らないみたい。
工藤先生の顔も心なしかぼやけてみえちゃう。
「…はあー。まじでよかった……。希望進路の紙渡そうとしたらバタッと倒れてな、まじ焦ったわー。」
工藤先生は首をもたげた。
……そんなのっ。
工藤先生が…かっこいいからでしょーが!
…あたし、どんだけ
心の中では素直なの。
いつも工藤先生への気持ち否定しまくってるのに。
ワカにとられちゃうんじゃないかって
ハラハラした自分がいたのにも
今気づいた。
しまが
「あのコ無理」っていってたとき
少しワカに勝った気がしたのも
事実。
あたしにはこんな大切なモノを
貴方より手に入れてるんだぞ、って。