あげは蝶
「……A組?A組ほどの優秀な生徒が職員室に何の用かね?呼び出されたわけではあろうな。」


と、出てきたのは制服の着方にうるさい諸橋先生。

「えとぉ…あの……よっ…呼び出しです………っ。」

あたしはしどろもどろになりだからも事実を述べた。

「ほお。A組ほどの優秀な生徒が呼び出し…。なんだ?よっぽどのことをしたのか。」
諸橋先生は少しにやけてあたしをジロリと見た。

え、違……っ。
よっぽどのことをしたのかって…。
変なことしたわけじゃないのに…何、この視線。


色々な教師からの視線が痛い。

教師の考える“よっぽどのこと”って……




とっさに思い浮かんだのは

援助交際
売春
ウリ

という言葉



あたしはふぅとため息をついた。

「…違います。授業中に居眠りをしてしまいまして。山田先生に呼び出されました。」

瓶底眼鏡をくいっとあげて諸橋先生をじりっと睨むと諸橋先生を無視して職員室のドアに向かった。

諸橋先生は
「ははは……」
と参ったというように
そそくさと職員室から離れて行った。




「山田先生いらっしゃいますか?」


あたしはそのあとたっぷりと怒られた。
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