からっぽの恋
長い黒髪が

夜風に揺れる。


大きな潤んだ瞳に

吸い込まれそうになる。





「あ、ありがとう…ございました。
助かりました。」


小さく、かすれた声。

でも可愛い。

オレの顔が火照るのが解った。




「あのう…」

女の子は

返事がないオレに

不思議そうに首を傾げる。


「あっ…ごめん、ごめん。
取り敢えず立たないと。
汚れちゃうよ。」

手を差し伸べる。

女の子は戸惑っていたが

オレが手をしまわないから

手を取った。

怖がらないように

優しく微笑んだ。


土を払った女の子は

深々とお辞儀をして

また、お礼を言ってくれた。

ってか……若いよね?



「高校生?……こんな時間に
一人で出歩くなんて。
もしかして、家出とか?」

冗談半分に聞いてみたが


「……そんな感じです。」






返事に驚いた。

ってか、ラッキー!?
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