からっぽの恋
『土曜日』



オレの寝起きは最悪だ。


腕の中に居るのは

ちいじゃない。

別な女。





適当な女なら

叩き起こして、帰らせる。



大事な客は


礼儀をわきまえ


いい時間に帰ってくれる。




今日は前者。






「おい…起きろ。」



手厚くはしないが

営業スマイルは忘れない。



腹減っただの

シャワー浴びたいだの

ごちゃごちゃ五月蝿かったが

言いくるめて帰らせた。





ってか、昼じゃねえか。


女が帰ったら、シャワーを浴びる。








ちいはもう帰ってる筈だ。

朝起きたら帰るように言ってる。

女がいたら部屋に居るようにも

言ってもある。




シャワーから上がれば


キッチンから

リズミカルな音が聞こえる筈…














あれ




















しない

















下だけ履いて

タオルで頭を拭きながら

キッチンへ向かう。














いねえ













玄関に向かうと靴もない。














何処に行った?
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