からっぽの恋
ちいの歩幅に合わせて

ゆっくり歩く。

春風に、ちいの長い髪が

拐われていく…




「ちい…変わったね。」


「えっ?」


僕の言葉に不思議そうにする。


「笑ったり…
前より自分の気持ちを
言うようになった。」


「………優が…
教えてくれたから。」


「僕が?」


ちいが小さな声で言う。

今度は僕が不思議そうにする。

ちいの言葉に心当たりがなかった。


「前に…言ってくれた。
もっと笑ったり…
嬉しいとか…悲しいとか…言った方が良いって。
最初はよく解らなかったけど
最近…ちょっと解るように

なってきたかも。」


「………あぁ、あの時の。」




僕はやっとのことで

思い出した。














あれは半年ぐらい前









酔った勢いで















ちいの気持ちがもっと知りたくて

















ぽろっと言った言葉

















覚えていてくれたんだ…
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