からっぽの恋
ふと、風に乗り

春の声が聞こえた。


「ちいは…これからどうするの?」


「……何の話?」


「大学は…そのまま進むの?」


「……そのつもり」


付属の大学。

成績もトップを
キープしてるので問題ない。


「やりたいことが…
まだからない。
半年で見つけられなかったら
そのまま進むつもり。」


私は空を見上げる。

勉強は好きだけど

何の科目と聞かれると

答えられない。

答えを見つけるには

まだ、時間がかかりそう。



考え込んでると

手が暖かくなる。

視線を向けると

私の手の上に

春の手が乗っていた。

春は優しく、私の手を

握りしめた。




「綺羅のことは?」



一瞬、何を聞かれたのか

わからなかった。

春の顔を見ると

真剣な表情をしていた。














私の答えは

















既に出ていた。
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