からっぽの恋
「後一年…何もなかったら
部屋を出ようと思うの。」

「ちい…」


ちいの言葉は淡々としていた。

けど、表情は悲しげだった。



そんな顔も

出来るようになったんだね…













でもそれは














誰を思って?














「前は…失敗したから。
今度は黙って出ていくね。」


ちいは相当我慢してきた

事だろう。


一年前にも

綺羅から離れようとした。


それは、綺羅の暴走で

叶わなかったけど。













綺羅の前から去ると言うことは

僕の前からも去ると言うこと。


















それは困る

















「ちい……」
















「………何?」



















「決断をしたら、僕には教えてね。
少しは…力になれると思うよ?」



僕は偽善者ぶって微笑む。

でも、本心は違う。


このままちいは手放せない。


まだ、何もしていない…














ちいは黙って頷いた。























タイムリミットは一年





いや、無いかもしれない


















僕はちいが好き















この気持ちを…



伝えたい



僕も……結構我が儘だね。
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