からっぽの恋
春が殴られるのは凄く嫌だった。


それよりだったら

自分が我慢しよう…









綺羅が居なくなった部屋は

とても静かだった。



「大丈夫だったかい?」



春が私を起こしてくれた。


そして



ゆっくり私を抱き締めた。














そうか…














私……震えてる











「ごめんね…春…」


「僕は大丈夫だよ。
僕こそ…ごめんね。
何もしてやれなかった…」

「春は何も悪くない。」











私の考えが甘かった。


綺羅にお世話になったのは事実。

ちゃんと話をしてから

出ていこうと思ったが

話しすら聞いてもらえなかった。


春の事も…

迷惑をかけただけだった。













「ごめんね…春…」















私は、いつの間にか














音も立てずに泣いていた。
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