からっぽの恋
「ごめんなさい…使っていいよ。」


細々としたちいの声が聞こえた。

怯えてる?

そりゃ…ちいの方が

ビックリしたよな。

オレは立ち上がり

ちいの元に向かう。


「来いよ。」


手を掴んで

脱衣場に向かった。

不思議そうにオレを見るちい。

折り畳み椅子を準備して

座らせた。


「綺羅…いいよ…自分でっ」


「いいから、やらせろ。」

オレはドライヤーを取り出し

ちいの髪を乾かし始める。


脱衣場には

ドライヤーの音だけが

鳴り響く。

オレはちいの髪だけを

見るようにしていた。
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