からっぽの恋
私は鏡越しに綺羅を見ていた。

綺羅は器用に私の髪を

乾かしていく。


正直驚いている。

綺羅がこんな事するなんて…


でも、何だか体の奥が

くすぐったい。










クス










気がついたら

私は笑っていた。





綺羅と目が合った。

さっきと同じ鏡越し。

長い時間に感じた。







あれ










「綺羅……顔が赤いよ?」

熱でもあるのかな?

私は振り向こうとしたけど

「うっ、動くな。」


綺羅の裏返った声が聞こえたので

そのままでいた。








また、沈黙が続く。


「綺羅…具合悪くない?」

心配だったので聞いてみた。


「はっ?……あぁ…何ともねえよ。」


動揺している様だった。

綺羅はドライヤーを止め

片付け始めた。

髪を触ってみると

美容院に行ったかのように

サラサラと指から髪が溢れた。


「凄い…サラサラ。」


思わず声に出ていた。
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