天に咲く花
教室に入ると、やっぱりクラス中の視線が向けられた。
気にしないフリをして席につく。
することもないし、とりあえず1限目の準備をしようと、机に手を延ばす。

えあたしのじゃない

机から出て来たのは知らない人の教科書。

『そこ、私の席。』
後ろから声がする。振り返ると、見覚えのないクラスメイト。

『あ、ごめん。』

『休んでたから仕方ないよ。柏木さんの席は、窓際の後ろから3番目。』

そう言って笑い掛けてくれた。

『ありがとう。』

パッとしないコだけど、綺麗な顔立ち。
こんなコいたんだ…
席につくと遠巻きに見てた子達が笑ってる。
むかつく。

あ、教科書。
手元を見ると、さっき机から取り出した、あのコの教科書が。

“死んで”“キモい”“ウザイ”“学校来ないで”

教科書に書かれた文字。

イジメ?

『ごめん、さっき間違って教科書持ってっちゃって。』

そのコは慌てて教科書を取った。

『ねえ、それって…』

そう言いかけると、被せるように

『人の物、勝手に持ってくな』

さ、さっきと態度違くない

ビックリして言葉が出ないまま呆然としてると

『私に構わないでくれる。ウザイから。』

心配して…怒られた。
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