天に咲く花
暗すぎな部屋を見て引き返そうとすると

“ドン”

『キャアいきなり押さないでよ』

あたしが入ると同時にドアが閉まった。
『ちょっと何も見えないよどこにいるの』

『ここ。』

声がする方を見ても、何も見えない。

『見えない。どこ』

『ちょっと落ち着けって。目の前。』

そう言って、あたしの手をつかんだ。

落ち着いた。目も慣れてアオイの姿が見えてきた…けど、今度は、手をつないでることにドキドキして、違う意味で落ち着かない。

『上見てて。』

アオイが言うままに上を見る。

“パチ”

ブラックライトがついた。

『うわぁ~』

天井から壁、床まで、ブラックライトで星が光り出す。

『すごい…。』

『すごいやろ。オレが昔住んでた所って、メチャメチャ田舎やったから、夜になると、本当に掴めるんやないかってぐらい星が近くてなぁ。その空が大好きで、ここに作ってみた。』

『綺麗だね…』

自然に流れ出た涙と感動で言葉にならない。暗くてよかった…涙を見られなくてすむ。
アオイの秘密基地。ここに連れて来てくれたことが、すごく嬉しいからなのか、いつの間にか関西弁に戻ってるアオイに安心したのか、涙の意味はよく分からない。
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