天に咲く花
アカリ
朝がきて、あたしは校門の前にいた。

あんな約束するんじゃなかった…。

考えてみたら“ガッコーで会おう”て言っただけで、いつ・どこで会うかを約束してない。適当に言っただけなのかも。
……やっぱり帰ろう。

学校に背を向け歩き出すと、

『ぐぇっ』

後ろから誰かが襟を引っ張った。
だいたい予想はつく。たぶんアオイだ。
振り返ると知らない男子生徒。

『てか、誰』

『あんたミクちゃんでしょ?オレはカズミ。アオイの知り合いなんだけど、アオイ遅れるから代わりに待ってろって言われたから。』

やっぱり。
自分だけ来ないつもりなんだ。あんなやつ信じなければよかった。

『あたしはミクじゃないから、離してくれる?』

早くこの場を離れたい。
ネコみたいに首ねっこ掴まれてる姿を見て笑う人の中に“友達だった”クラスメイト。また何を言われるか分からない。
『あんたはミクだよ。』

『なんで?違うって言ってるでしょ
恥ずかしいから早く離してよ』

つい大声を出してしまった…
自分で更に注目を集めるバカなまねを…

『おぉ~、目立ってるねぇ~(笑)
てか、カズミくん、女の子にソレはないなぁ。せめて、手を引くとかさぁ。』

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