STAR SEEKERS 〜 星を探す者たち 〜
今、僕が搭乗しているのは、官民問わず教習用として広く使われているアーキスで、開発された年代から「88式(ダブルエイト)」と呼ばれている機体だ。
全体的に丸みを帯びたフォルムで、「ずんぐりむっくり」といった表現がよく似合う。とにかく丈夫、という点では一級品だが、練習用だけあってスピードや戦闘力には物足りなさを感じる。
両手を、二本の操縦桿に差し入れる。
コンソールパネルに再び光が蘇っていく。まるで夜空に星が瞬きはじめるようで、暗闇とはまた違った高揚感を感じる。
フットペダルを踏み込み、所定の位置、ブラウン教官の正面の宙空につける。
『……構えろ、グラント。』
位置についた僕を確認して、ブラウン教官の機体も静かに動き始める。
教官の機体も、僕たちと同じ「ダブルエイト」だ。
………ただし、向こうは「チーフ・スペシャル」仕様機であって、こちらよりも若干性能が上なのだ。
万が一、指導者が生徒に負けでもしたら示しがつかない。………そういう事なのだろう。
(…ま、丁度良いハンデか。)
一つ、うそぶいてみて、自分を奮い立たせる。
『さっきは誉めてやる、とは言ったがな………それも、』
ブラウンは手品のような素早さで、機体のバックパックに固定されていた超硬度ソリッド・ブレイドを取り出し、大上段に構えた。
来る……そう感じた時、僕もほぼ同じ動きでブレイドを取り、正眼に据えていた。
『………それも、この俺に勝てたらの話だァァァっっ!!!』
チーフ・スペシャルがフルブーストで突っ込んできた!
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