STAR SEEKERS 〜 星を探す者たち 〜


機体の安定機能を全て切ってしまうと、機体は宇宙を漂う鉄屑と何ら変わらなくなってしまうのだ。


そこに、下からの大きな力を受けると………当然、機体は上へと慣性に従って飛んでゆく。


僕は微妙にブレイドと機体の角度を調整し、斜め前方、つまり、ブラウン機の頭上へと飛んだ。


呆気に取られるブラウン機の真上を過ぎた頃に、足の補助バーニアを使って頭部を回転の中心にして、機体をくるりと縦に一回転させる。いわゆる「ムーンサルト(月面宙返り)」。よくお遊びで練習していた技だ。


見事にブラウン機の真後ろに着地、したつもりでバランサー機能をオンにし、機体を安定させる。そして、ようやく背後を振り返ったブラウン機の頭部にソリッド・ブレイドの切っ先をピタリと据えた。


『勝負アリ』


ひどく無個性な機械音声が僕の勝利を告げている。もちろん、ブラウン教官にも聞こえている筈だ。


……それなのに…。


『……まだまだァァァっっ!!』


いきなり横に薙(な)ぐように振り回されたブレイドを、バーニア噴射によるバックステップでかわす。


『確かに格闘戦は上達したようだな………。

ならば、コッチはどうだぁぁぁ!』


そう叫びざま、ブレイドを手放し、新たにバックバックから二丁のサブマシンガンを取り出した……!




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