STAR SEEKERS 〜 星を探す者たち 〜
「………ったく………。
これが教官のヤル事かよっ!!」
その、いつもながらの往生際の悪さに辟易しながら、機体を左右に振って照準から逃れていく。
使用されている弾はキャプティフ(訓練弾)であり、ダブルエイトの重装甲では当たったところでまず致命傷にはならない。……しかし、問題なのはその薬莢の中身だった。
薬莢の中には着弾を分かりやすくする為に特殊な塗料がたっぷりと詰まっているのだが、それが少しでも機体に付着すると、たとえ専用の溶剤を使っても容易には落ちない。
そして、個々の機体の清掃は、割り当てられた候補生がしなければならないのだ………。
(それだけは御免だ……!)
『ハーーーーーッハッハッハッハーーーーッ!!!
そらそらどうしたァ!!逃げ回るだけとは芸が無いぞーーーーーッッッ!!!』
……つい先ほど、ものの見事に一本取られた事など一万光年向こうの外宇宙へ飛んでいったようだ。
「掃射」というべきマシンガン連射をしながら高笑いをするブラウン教官は、まるでアースムービー(地球時代の映画)に出てくる悪役そのものである……。
(教官辞めて三流俳優でもやってる方がまだモテるだろうによ………節穴め)
「逃げ回っているだけ」………ではもちろん無かった。意識して、「追い回したくなるような逃げ方」をしつつ、「その時」を待っているのだ。
(21……22……23……)
上、下、右、左………時に回避の方向を変え、時に運動パターンを変え………背後から追尾される格好を取りつつ、頭の中でカウントを数える……。
(32……33……34……)
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