STAR SEEKERS 〜 星を探す者たち 〜


『警告……警告……』


コンソールパネルに赤いサインが点滅している。


今回の訓練宙域に定められているエリアから外れようとしているのだ。外へ出てしまえば………当然、マイナス評価が待っている。


(………39………40…!)


……だが、ギリギリで間に合った……!


僕は逃げ回る演技を止めて、機体をブラウン機の方へと向けた。


『ククク………。往生際が良いなァ、グラントぉ……。

その健気さに免じて、メインモニターをツブすだけで許してやろう……。』


さながら、ウサギを追い詰めたクマのように、ブラウン機がその距離をさらに詰めてきた……。


そして、命中率が低いサブマシンガンでも外しようの無い位まで近づいて、ゆっくりと、引き金を引いて………、


『……な……っ…?!』


ようやく、異変に気付いたようだ。


………ようするに、弾切れである。






ダブルエイトは通常、教習中の事故を防ぐ為、FCS(火器管制システム)にロックをかけた状態で使用される。


つまり、銃砲類を扱う場合はマニュアル操作になるのだ。


その事を失念して、発射弾数の多いサブマシンガンなど乱射すれば当然…………。


「……こうなるワケ、だ。」


僕は、バックパックに固定してあるアサルトライフルをゆっくりと取り外し、目の前に佇むブラウン機に照準を定める。


「………ええと、メインモニターをツブすだけで良かったんでしたっけ……?」


『グ、グラント、き、貴様ァァァ………!!』


ブラウンの声には、はちきれんばかりの怒気が溢れていたが、所詮は負け犬、もとい、負け熊の遠吠え以外の何者でもない。


「今まで二年間…………ありがとうございましたァッ!!」


二年間の感謝と、今までの情け容赦ないシゴキに対する恨みその他をありったけ弾丸に詰めて…………引き金を、引いた。




.
< 14 / 21 >

この作品をシェア

pagetop