STAR SEEKERS 〜 星を探す者たち 〜
……だが、次の瞬間……!
バシャッ!!
そんな音を残し、アサルトライフルから射出されたペイント弾は、ブラウン機の頭部メインモニターに達する前に、宙空で四散したのだ。
と同時に、通信に聞き慣れたよく通る低音の声が響く。
『グラント君、もう勝負はついた。それ位にしておきなさい。』
左側面から、アサルトライフルを構えたもう一機のダブルエイト・チーフスペシャルが近づいてくるのが見えた。
「とお………パワーズ教官………。」
思わず普段の呼び方が出てしまいそうになって、慌てて言い直す。
ジェイソン・パワーズ教官、階級は少佐。46歳。
この「グリフィンズ・ネスト」の最高責任者だが、同時に教官長も兼ねている。
そして、僕の養父でもあった。
『……き、教官長!こ、この訓練生は、あろう事か、せ、戦意を失った私に、は、発砲を………!』
再び立場が逆転したのをいいことに、調子にのったブラウンがまた要らぬ事を言い出しそうだったが、パワーズ教官長はそれを遮って、聞き捨てならない事を言ってきた。
『まぁまぁ、ブラウン教官。
どちらも、なかなか見所のある模擬戦だったよ。だから、今回は引き分け、といった所で良いのではないかな?
……どうだろう、グラント君。』
「納得がいきません!!」
とっさにそのセリフが口から出かかった。
冗談じゃない。コッチは確実に二本取ってるのに、何が悲しくて引き分けなんかに……!
……と思ったが、ここで教官長の父さんに恥をかかせる訳にもいかない……。
「………異存ありません。」
………結局、そう言う他に道は無かったのだった。
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