STAR SEEKERS 〜 星を探す者たち 〜


その夜。


「グリフィンズ・ネスト」訓練生寮の近くにあるスナックバー「空飛ぶ子豚亭」は、栄養価以外は全く無視された寮食堂のお粗末なディナーをパスした訓練生で今日も賑わっていた。





「ギャハハハハハ……。んで結局、あの『赤毛熊』殺り損なったワケ?勿体無ェの〜〜っ!」


「パワーズ教官長も融通利かねェッつ〜〜か……。そりゃグラントも災難だったなー。」


店の一角で、僕は訓練生仲間と共に今日の授業の話をしていた。


卒業試験前の最後の実機訓練という事で、今までの仕上げも兼ねて8名いる各教官との一対一の試合が組まれたワケなのだが………。


さすがに選りすぐりのエリート集団「グリフィンズ・ネスト」の訓練生だけあって、皆それぞれに相対した教官にきっちりと今までの「お礼」をしてきたらしい。


「ま、いいじゃねぇか。借りを返す機会なら、軍にあがってからもあるんだからよォ!」


そういって、ザハロは僕の肩をバシバシと叩いた。シルバーの髪をパイナップルみたいに立ち上げ、いかにも「男くさい軍人」を気取っている、嫌みの無い陽気なヤツだった。


コイツは、ステファン教官の機体の両腕をブレイドで叩き落として、入学式の時にポルノを取り上げられた積年の恨みを見事に果たしたらしい。


「そーそ、ヤツらと違って、俺たちには輝かしき未来があるのサッ。

……そう!未来がっ!!」


そう力説するのはカルドゥッチ。女性も羨むような美しい亜麻色の髪を肩まで伸ばした、見るからに優男なタイプだ。


だが、その射撃センスは教官も舌を巻くほどで、今日の訓練でも射撃担当のイム教官の機体を頭から爪先までくまなくペンキまみれにして差し上げたそうだ。




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