STAR SEEKERS 〜 星を探す者たち 〜
……その時……!
「おーおーおー、相変わらず仲いいよなお前らー!」
この緊迫した場にそぐわない、あまりに間延びした声。ザハロとクラウスに向けられていた視線が一気に店の入口に注がれた。
くせっ毛のウェーブががった金髪。常に自信ありげに端が持ち上げられている口元。切れ長の細い目はいつも眠たげに見える。
ディエゴ・マティウス。「トリックスター」の二つ名を持つ、僕たちのチームの最後の仲間だ。
そして、僕の幼なじみであり、かけがえの無い親友でもある。
「……何の用だ、マティウス」
「邪魔するならお前から先にそのツラひん曲げンぞ?あァ?」
勝負に水を差された格好の二人が、お互いを睨み付けたままでディエゴの方にも殺気を放つ。
「いや、続けたいってンなら邪魔はしないけどさ……?
そいよか、コッチの方が今は大事じゃなくね?」
そう言って、ディエゴは手にしていた紙片を僕たちに示した。
『卒業試験実技部門・対戦組合せ一覧表』────!
「うぉ………マジかよ!!」
「お、お前!何故そんなものを!」
すごい破壊力である。あっという間に、二人の発していた殺気が消えた。周りの連中も騒ぎ出す。
まあ、今のこの時期に卒業試験が気にならないヤツは居ない。案の定、ディエゴの周りには黒山の人集りが出来つつあった。
ディエゴは、手近な友人にそのプリントを託し、そして、僕に目で店の奥へ来るように合図してきた。
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