STAR SEEKERS 〜 星を探す者たち 〜


この店の奥に2つあるボックス席のひとつに入った。


ここなら店内の喧騒もいくらかマシだ。隣のボックスに居た連中も一覧表を見に行ったので、二人で落ち着いて話せる。


「聞いたぜ。父さんに横槍入れられたそうじゃねーか。」


ディエゴは手にしたミートパイを一かけら口に運びながら言った。店に来る前にあらかじめ注文していたらしい。


昔から全く抜け目が無いヤツで、物事を先読みする能力にかけては、時に神がかりな閃きを持っていた。


「あぁ……うん。よく知ってるな……。」


その話題にはあまり触れて欲しくなかったので、返事が中途半端になる。


「あのな………ジョセフ。」


行儀悪くミートパイでこっちを指すディエゴの目に、先程までとは明らかに違う色が宿る。


「お前の悔しい気持ちも………もちろん分かる。

……けどな。父さんはいつだって、俺たちの事を考えて動いてくれている。それが分からないお前じゃ無いよな?」


……ディエゴの言うとおりだった。


あそこでブラウン教官を散々に打ち負かして、彼のプライドを傷つける事に、一体何の意味があったのだろう……?


「分かった。僕が悪かったよ、ディー。」


「……もうガキじゃないんだから、その呼び方は止めようって言い出したのはお前だぜ?ジョー。」


そう言って、拳でお互いの胸を軽く小突く。ディエゴの顔に笑顔がはじけた。無論、僕も笑っている。





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