単細胞生物



「そんなわけないじゃないっ。」




小さな叫び声。





「好きって言いたかった。愛してるって伝えたかった。けど、蒼は私から離れていこうとしたから。私は蒼にとっていらない存在なんだって。」






「雪を愛してる」






顔を上げた雪と、視線がぶつかる。





「雪がもし僕を嫌いになっても、離れていっても、僕は君を愛し続ける。それがもしも互いを傷つけあうことだとしても、雪から心を離さない」







この言葉を、どうしてもっと早く言わなかったんだろう。どうして伝えなかったんだろう。そうすれば、






雪が歩けなくなるまで弱ることはなかったのに。




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