空唄
=*=*=*=
「光さ-ん、」
「ん?」
5限目の生物が終わり、
教室に帰ろうと
階段を登る直前、
後ろから誰かに
呼び止められ、
あたしは声がする方へ
顔をやった。
「あ、隼人。」
「ちわっす!」
このイケメンは、隼人。
野球部の2年生で
何故かあたしに懐いてる。
や、最初はあたしが
かっこいいて思ってたんだがね…だんだんね。
弟感覚になってきてね。
「何か話すの、
久しぶりだな。」
「や、朝から話したし。」
「光に会えなくて
寂しかったわぁ。」
「や、結構会ってるし。
しかも今あんた、
呼び捨てにしたね遂に。」
隼人はあたしに
カナリ前から敬語というものを
遣わなくなった。
あたしが許したんだけどね。
後輩部員もタメ口だし、
敬語って慣れない。
「光さん、
今日も部活でしょ?」
「まぁね。」
「一緒に帰ろうよ。
アイス奢ってあげる。」
「まぢっ?!
ぁ、でも…ん〜…」
どうしよう、
付き合ってはないけど
永遠がいるのに
他の男の子と2人で
帰るのって、ダメだょね。