空唄
「もしかして、
市ノ瀬くん?」
一之瀬秦、
あたしの初恋の人。
あたしを
変えてくれた人。
「あたし、一之瀬くんの事
詳しく聞いてないんだけど、
話してくれない?」
「そか、若葉にはあんまり
話してないんだったね。
ぅん、いいよ。」
***
あれは、小学1年になる
春の事だった。
あたしは神奈川から
親の都合で引っ越し、
シンも引っ越してきた。
偶然同じクラスで
偶然席が隣で、
これが一番最初の
出会いだった。