空唄




「っ…うん。できた。」

「…」

「昨日だけどね。
隼人の事…
放っておいてごめん。
ずっと喧嘩みたいに
なってたのに。」


「…ぁ-、そっか。
遂に出来ちゃったか。」

「隼人…」

「まぁ光さん可愛いし、
性格いいし仕方ないけど…
悔しいわ〜…。ははっ」




隼人、無理やり笑ってる。
この人は無理してる時、
上むいて目を合わせないから。


あんたの癖なんか、
分かってるんだよ??



「あの時さ、
キスしてごめん。」

「ぁ-、あはは…;
大丈夫、ビックリしたけど。」

「…こんな事言ったら、
怒られるかもしんないけど、
俺…後悔してねぇよ。
本当に好きだから、
光さんのこと。」



あたしは何も
答えないで、
ただただ、
隼人の話を聞いていた。




「だからこれからも、
好きでいる。
嫌になったりしたら、
いつでも俺のとこ
光さんが帰って来れるように。」


「…っぷ、ばぁか!」

「馬鹿で結構。
初めてだから、こんなに
人好きになったの。」



隼人がそれを言った直後、
授業の始まりの
チャイムがなった。



「じゃ、帰るか。
授業始まる。じゃあな。」



「…隼人っ!」




隼人が階段を降りる前に、
あたしは隼人を呼び止めた。




「ありがと!あたしを、
好きになってくれて!
ホント、嬉しかったから!
だから…!!」

「光さ-ん、
また、一緒に帰ろ。
彼氏の変わりに、
夜道は守ってあげる。」



「…ぅん!
よろしく頼むよっ?」

「はいはい。」




隼人は少し微笑んで、
あたしに手をふりながら
教室へと向かった。



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