雪の華、君の香り、君ヲ想う
「こんにちは。
こちらへどうぞ!!」


先生はやさしくそう言った。


男の人は椅子に座り、
先生と向き合うとすぐに俯いた。


「どうされました?」


男の人はしばらく俯いたままだったが、
やがて重い口を開いた。


「・・・あの・・・俺・・・」


すると男の人は自分の手の平を見て
小さく震えだした。



「俺・・・妻を・・・
妻を・・・殺そうとしたんです・・・」


えっ!?


衝撃だった。


『殺そうとした。』


その言葉が俺の心の深いところで
突き刺さったような感覚だった。




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