雪の華、君の香り、君ヲ想う
「何か抱えておられますね?
そうなるほどの悩みを・・・」


「・・・・・」


男の人は手を膝の上に乗せた。
体の震えはさっきより大きくなった。


悩み?


「実は借金を抱えてまして・・・
事業をやっていたんですが、
上手く行かず負債が膨れ上がり、
どうにもならなくなりました。

もうダメだ・・・

もう死にたい・・・

俺は生きる気力をなくしてました。


それでも俺に付いて来てくれる妻、
笑顔でいつも俺を励ましてくれました。

妻にこんな苦労ばかりかけて、
俺はなんて情けない・・・
こんなやさしい妻を・・・

もう嫌だ・・・

一緒に死のうか・・・?


そんなことばかり考えていました。」






< 95 / 304 >

この作品をシェア

pagetop