たからもの
「ごめん。内田さん、有原さん。俺、柚葉の事保健室に連れて行くから、担任に言っておいてくれるかな?」


「わ、分かった。柚葉くん、大丈夫?」

今日香も前かがみになった。
柚葉は黙って頷いた。


「っは、はぁ、は…はっ」

動悸が激しくなったようだった。
息遣いが荒くなる。

「柚葉、立てる?保健室、すぐそこだから」

「ああ……」

そう答える彼は、暑くもないのに額に汗をかいている。

そしてそのまま保健室のある方へ姿を消した。


翼と今日香はしばらくそこに立ちつくしていた。
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