たからもの
「あの、古橋くん」
「ん?」
「えっと、南くんは大丈夫だったの?」
「南……あ、柚葉ね」
隆人は遠い昔の事を思い出すように目を細めた。
「医者から出された薬ね、飲み忘れてたんだって。薬出された時は忘れないようにって、毎回言ってるのに」
「薬は毎日飲んでるの?」
「最近はそうでもないよ。有原さんは優しいね」
「え!?」
いきなり褒められて、翼は目を見開く。
「いや、本当に苦しそうだったから。うちの家族って健康で、風邪とか滅多に引かないの。だから、ああいう光景って見た事ないからびっくりしちゃって……」
「柚葉見てると本当にさ、健康な身体って当り前の事じゃないんだなぁって思う。物心ついたときから一緒にいるから余計にね」
「そうだよね……」
拳を握ったり、開いたりする。
きっと、こうやって手を動かす事も、当り前の事じゃないんだ。
真面目な顔で自分の手を見つめている翼を、隆人は笑って見ていた。
「ん?」
「えっと、南くんは大丈夫だったの?」
「南……あ、柚葉ね」
隆人は遠い昔の事を思い出すように目を細めた。
「医者から出された薬ね、飲み忘れてたんだって。薬出された時は忘れないようにって、毎回言ってるのに」
「薬は毎日飲んでるの?」
「最近はそうでもないよ。有原さんは優しいね」
「え!?」
いきなり褒められて、翼は目を見開く。
「いや、本当に苦しそうだったから。うちの家族って健康で、風邪とか滅多に引かないの。だから、ああいう光景って見た事ないからびっくりしちゃって……」
「柚葉見てると本当にさ、健康な身体って当り前の事じゃないんだなぁって思う。物心ついたときから一緒にいるから余計にね」
「そうだよね……」
拳を握ったり、開いたりする。
きっと、こうやって手を動かす事も、当り前の事じゃないんだ。
真面目な顔で自分の手を見つめている翼を、隆人は笑って見ていた。