たからもの
そして2人で階段を上る。

「とにかく翼はおもしろいんだよ。あの2人にもそう認識されちゃったし」

「た、隆人くんにも?うー。2年間普通の女の子として認識されてきたのに。変な子だと思われたかな」

翼は肩を落とす。

「いいじゃない。普通よりおもしろいって方が印象に残るもの。それにこれから一緒に学級委員やってくんだよ?どうせどこかでボロは出たって」

「んん、まあ、そうだけど」

確かに偽りの自分よりは、本当の自分を見て欲しい。それで彼の記憶に残れるなら、それはなんて幸せな事だろう。

急に顔が熱くなる。

「翼?」

そう呼ぶ今日香の声が、やけに耳に残った。
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