たからもの

帰り


4人で他愛のない話をし、学校の最寄り駅に着いた。
駅にはたくさんの高校生がいる。

そんな高校生たちの注目の的だった。隆人と柚葉は。

駅に向かうのに歩いた10分間の間に3回、逆ナンされた。それでも少ない方らしい。どうやら翼と今日香を彼女だと思って、声をかけなれなかったようだ。

「いやー、いいね。これからずっと一緒に帰ろうよ」

ショルダーバッグをしょい直して、柚葉が言った。

「楽しかったしね」

隆人もその言葉に賛同する。
口を開けたままの翼を今日香が小突いた。

ハッとなって、慌てて口を開く。

「あ、はい、私でよければ。でも…今日香はともかく私でいいの?松井さんとかの方が2人にはお似合いというか」

翼は顔を下に向けて、学校1の美人の名前を出した。

「何言ってるの。俺たちは翼ちゃんたちといるのが楽しかったから、誘ってるんだよ。お似合いとか、周りの意見とか目なんて関係ないでしょう?」

先生のような口調で隆人は諭した。
その言葉で翼は顔を上げる。


「楽しかったの?」

「楽しかったよ」
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