たからもの
「金、貸して」

「なんでよ」

「定期忘れた。電車乗る金もないから」

「ちょっとタイム!」

2人の会話を隆人が止める。

「君、昼間から堂々とカツアゲってどうなの?その制服、愛海(あいかい)学園だよね。優秀な学校の生徒がこんな事してたら、先生たち悲しむと……」

「ちょ、ちょっと待ってよ、隆人くん」

今度は翼が止める。

「誤解だよ。この子、私の弟」

「弟ぉ!?」

3人が口を揃えていい、姉弟の顔を見比べた。

「全然似てないね。弟はこんなにカッコイイのに、お姉ちゃんは……」

「ちょっと今日香。それどういう意味よ」

さりげなく批判され、翼は今日香に顔を近づける。

そんな姉をよそに、弟はあいさつする。

「初めまして。姉がいつもお世話になってます。弟の陽(ひなた)です。誤解招くようなことして、申し訳ありませんでした」

「お姉ちゃんと違ってしっかりしてるのね」

「今日香っ!」
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