たからもの
家
「お父さん」
振りかえると父の啓太(けいた)がいた。
スーツのネクタイを緩めている。ネクタイは、去年、翼と陽で父の日にプレゼントしたものだった。
「もう帰ってきたの?まだお昼だよ」
「またすぐ出かけるよ。仕事で使う書類、取りに来ただけだから」
「ふぅん。今日、帰ってこないの?」
子どもたちより先に家の中に入り、バタバタ走りまわる父に翼は尋ねる。
「帰るよ。でも晩ご飯は先食べててな」
そう言って書類を片手に持ち、玄関の外へ飛び出して行った。そしてすぐ、車庫から車のエンジン音が聞こえ、環境に悪くなるような急発進で出かけて行った。
「何か、あっと言う間だったな」
トイレのドアの取っ手を掴んだまま、陽は唖然としていた。
「ま、慣れたけどね」
「ああ。それで、今日から母さんはいないんだっけ?」
「いないよ。今回は3日で帰ってくるんじゃないかな」
「ふーん」
振りかえると父の啓太(けいた)がいた。
スーツのネクタイを緩めている。ネクタイは、去年、翼と陽で父の日にプレゼントしたものだった。
「もう帰ってきたの?まだお昼だよ」
「またすぐ出かけるよ。仕事で使う書類、取りに来ただけだから」
「ふぅん。今日、帰ってこないの?」
子どもたちより先に家の中に入り、バタバタ走りまわる父に翼は尋ねる。
「帰るよ。でも晩ご飯は先食べててな」
そう言って書類を片手に持ち、玄関の外へ飛び出して行った。そしてすぐ、車庫から車のエンジン音が聞こえ、環境に悪くなるような急発進で出かけて行った。
「何か、あっと言う間だったな」
トイレのドアの取っ手を掴んだまま、陽は唖然としていた。
「ま、慣れたけどね」
「ああ。それで、今日から母さんはいないんだっけ?」
「いないよ。今回は3日で帰ってくるんじゃないかな」
「ふーん」