たからもの
見間違いでなければ今の所、隆人の名前はない。
消極的な翼にとって、同じクラスになれないのなら、告白も何もなくバイバイなのは目に見えている。
かと言って、同じクラスになれれば告白できるのか?と問われても首は縦に振れないけれど。
だけどせめて同じクラスになりたい。
見てるだけでもいいから。
翼は出席番号1番の自分の名前から、ゆっくりと目を右にスライドさせた。
榎本さん…佐藤さん…田中さん…額賀さん…長谷川くん…
だんだんと「ふ」が近づいてくる。
まるで受験番号を見つけているような気分だった。
林葉くん、檜山くん、古橋くん……古橋くん!?
「あった!!!」
古橋隆人、間違いなく同じ6組!
翼は何度も自分の名前と隆人の名前を見比べた。