ガー ネ ッ ト ~不良少女の憂鬱~
プロローグ
深紅の魚
カラン――――…
相手の手から鉄パイプが離れ、コンクリートを響かせた。
"喧嘩は素手でやるもの"
石榴はそういう掟を作ったが
相手は平気で使ってくる。
深紅は
鉄パイプを手に取った。
鉄パイプを見て、
思い出す。
「総長……」
深紅は
鉄パイプを眺めてそう呟いた。
今にも出てきそうな涙をこらえる。
ふと、倉庫全体を見回した。
相手は全滅。
仲間は4分の1。
自分たちの勝利だ―――
しかし、
喜ぶことはできなかった。