君のとなり






公園が静寂に包まれたとき、そこに立っているのは私だけ。





この時の私は“無”。









これが私の偽りのない姿。



私は“無”でいることで私になる。






学校での私は、“芹沢呉羽”でも“無”でもなく、ただの“人形”。



笑顔を作られた、笑うことしかできない愚かなモノ。








でもこの時の私も、“芹沢呉羽”ではない。



この時の私は“華恋”。





誰がつけたかなんてわからない名前。




でも、私はこう呼ばれている。







─────・・・“芹沢呉羽”。



それは私の親がつけた名。





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