朝陽
・・・・・・・・・・・・・
「・・・何してんだろ。」
藤堂平助は、裏庭のベンチに座って青空を仰ぐ。
しかし格好が奇妙なのである。
ゴスロリに金髪のカツラ。そしてカツラを赤いリボンでツインテールに結ってある。
手元にはくまのぬいぐるみ。
はたからみれば、美少女だ。
それも超がつくほど。
つい先ほど、みんなから逃げてしまった。
理由は他でもない、『女装』が原因だ。
「・・・僕は女装するのが嫌だったのに。」
女装で賞まで取ってしまうものだから、悲しくもなる。
「・・・僕は男。」
そう自分に言い聞かせるほうに呟く。
「・・・誰かァァァ!助けてェェ!襲われるゥゥゥ!」
どこかの校舎から悲鳴が聞こえる。
恐らく智咲の声だ。
「・・・また、誰かと遊んでるのかな。」
悲しくなってくる。
「僕も一緒に遊びたいな・・・」